終幕 [ゲーム(俺屍・8周目)]
『俺屍』。
1031年6月。
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由光は毎夜<梵ピン>の術書と向き合っている。
歴代の当主が用いてきた戦術でなければ朱点に勝てないということもあるまい。あいつはもっと気を楽にしてもいいと思う。
由光が過労で倒れたらその間に自分らで朱点を倒してしまおうと照実が言っている。当人に聞こえるように言うもんだから始末が悪い。
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天霧の叱咤ではっとした。
不意を打って先手必勝、初撃でたたみ込むはずだったその相手が、既に態勢を立て直していた。
茨城大将の鉾を打ち込まれる、術の護り抜きで受けるには危険すぎる豪腕だ。蛇喰らい2匹が破裂して全員がよろめいた。あだし野が一斉に烈風の刃を巻き起こす。
先々月も、こんなふうに自分が真っ先に脱落したんだ。自分こそが最後まで立って皆に指示を出さなければならないのに。槍を強く握り締める。
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八ツ髪の術<寝太郎>!
呪印に目が釘付けになり、地獄の声が鳴り響く。崩れそうになる膝を弓で支えた。他のみんなも食らっている。
朱点童子はあたしの奥義を受けて炎上しながらも、その炎の中で笑っていた。無茶苦茶だ。
ただひとり、由光だけが眠りの呪縛を退けていた。
いつもひとりだけ倒れてたりするくせに今はその逆だ。あのハゲ頭は術を反射できるのか。
ともかく全滅は免れた。
<梵ピン>も解けてしまったし、いきなり奥義を連発したのは失敗だった。あたしの体力ではもう次は撃てない。
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由光様の術がかかり、身体にかすかな火の気が宿った。
筒に火薬と弾丸を2発分まとめて込める。
火皿に口薬を入れて火蓋を閉じ、構えた。ぼんやり光る火縄の火とその向こうに踊る朱点童子。点火。
十代目の時代の大筒士、響希様が編み出した射法だ。発射の反動が肩を砕かんばかりだ。
2発の鉛弾を同時に受けた朱点がこちらを見、笑った。剣をひらりと振り上げる。
効いているはずだ。皆がもう何度も奥義の技を浴びせているのだ。構わずもう一度発射した。
炸裂した大筒が肩に叩き込まれ、激痛に倒れた。盾にした八ツ髪の巨体を放り投げ、朱点の剣がその肩を切り裂く。
俺の母は天女「片羽ノお業」。朱点とは実の兄弟というわけだ。うずくまる俺に何度も剣が振り下ろされる。いいんだ。俺では奴を倒せない。
打ち込まれた剣を、そのまま押さえ込んだ。術の力が幾重にも送り込まれた照実さんの弓が限界まで引き絞られていた。間合いを計る由光様がこちらを見る。俺は笑った。
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若くはなくとも、法術と弓の技には自信があったんです。漢方薬を飲み、武具を身につけ弓を構えてみました。
そしてため息をつき、笑って由光たちを見送りました。
京のはずれに通っている息子が、今日もそろそろ帰ってくるころです。
拳法の訓練だとか早駆けだとか言っています。
もうお前に武術は必要ないと言えたなら。
へたな歌を歌いながらイツ花が夕餉の支度をしています。すごいな、今日はお肉ですよ。それとお赤飯。
ちょっと表に出てみることにします。そろそろ帰ってくるころですから。
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と言うわけで終わりましたー
八周目プレイ、長かった!
開始したのが2008年10月頃だったから、3年かかってますね。年単位で中断しているのでプレイ時間自体はそう長くはないのですけど。
最後は当主「由光」の捨て身の奥義『由光万歳殺』を2度放ち、叩き出した計3000ダメージがとどめとなって、なんかうれしかった。
次はPSP版だ!
特典の読本が伝統の厚さで笑いました。
どうやって遊ぼうかなー
お疲れ様でした!クリアおめでとうございます!
由光さん、寝太郎回避も奥義で止めも、ものすごい当主様だったんですねぇ。
そしてハゲ頭チート過ぎます・・・!PSPでも、また新たな伝説を打ち立てましょう!
by ぴんくもも (2011-11-13 15:09)
どもですー
ももさんのプレイ記を読んで、自分も最後くらいはと、やってみました。w
当主に決まったとき、自分ルールを捻じ曲げて別の者を当主にしようかと思ったくらい、「由光」は当主に向かない男でした。
雑魚戦では、「あだし野」が<太刀風>の代わりに<芭蕉嵐>を撃ってきていたら、敗走してたかもです。
「照実」が言うように「由光」抜きで決戦に挑もうかとも本気で検討したりしました。「照実」が隊長になりさえすれば<梵ピン><太照天>使い放題ですもん。
でも当人は絶対嫌だよなーと、当主入りで行くことにしました。
「髪」が何度か撃ってきた<寝太郎>で一度も寝なかったのは確かですけど、文中のシーンは、単に「由光」がひとりだけ前列にいて、後列3人が寝てただけだったりします。(笑)
「由光」は「三ツ星 凶太」4千点の子なので、「雷王」5万点の子である「照実」がいまいち反抗期なのは仕方ないかもしれません。
それだけに最終戦のとどめを担ってくれたのがうれしかったです。
by ひさみね (2011-11-13 16:47)