独ソ戦ソリティア [ゲーム(その他)]
1941年6月22日。
ソビエト連邦は、独ソ不可侵条約を破ってドイツに対し奇襲攻撃を行った。
北部国境を守っていたドイツ軍部隊はソビエトの攻撃によりケーニヒスベルクまで後退。
ナチスドイツは即座に大規模なソビエト侵攻作戦「バルバロッサ」を発動した。
戦車を主体とした電撃戦によって領内深くへと侵攻し、ついには首都モスクワにまで鉤十字が掲げられた。
開戦当時、既に対ソ戦準備を整えていたドイツに対し、ろくな備えもできていなかったソビエトのほうからわざわざ戦端を開くとは考えにくい。
開戦の発端は何らかの偶発的なものだったのか、さもなくばドイツ側の謀略が働いていたとの見方が強い。
しかし当時の記録は、ナチスドイツ崩壊後にベルリンを蹂躙したソビエト軍によって失われている。
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『独ソ戦ソリティア』は、ひとりプレイ専用のウォーゲームです。
シミュレーションゲームでは、作戦研究のために2人プレイの両軍をひとりで受け持ちそれぞれのサイドの立場になって思考するといったソリティアプレイがしばしば行われます。
一方この『独ソ戦ソリティア』では、プレイヤーの担当がドイツ側に限定されており、ソビエト側の行動はゲームシステムによって決められます。
このゲームは、両軍の対峙する「戦線」に強くフォーカスされているのが特徴です。
戦線を構成する各ユニットは、自発的に隙間を空けたり合理化・縦深化するような移動をすることはなく、戦闘によって生じる前進、突破によってのみ戦線が変化、移動していくことになります。
戦線以外の後方は描写から省かれており、ユニットが前線を突破して戦線に穴を開けると、その前方に今まで視界に入っていなかった防御側ユニットが即座に発生し新たな戦線が形成されていきます。
戦線の移動によって後方に取り残されたユニットはいったんマップから除去されますが、損害・壊滅による除去とは異なり、いつでも戦線の修復などで再登場することができます。
各ターンの最後には、ユニットの損耗状況や都市の占領、新型戦車や後方での工業力を加味した戦況を示す「イニシアチブ」値が算出されます。
開戦当初はイニシアチブは枢軸軍優位で進んでいきますが、史実の通りになるのであればいずれはソビエトが盛り返し、強烈な打撃力をドイツ軍戦線に対して揮うようになります。
勝利条件はソビエト3大都市の占領、またはベルリンの喪失。
各ターンのイニシアチブがプラスかマイナスに大きく振り切れた場合はVP(勝利点)が加算され、これによってもサドンデスが起こります。
最終ターンは第17ターン、1945年夏。
数ターン程度のショートシナリオも用意されています。
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さてプレイ開始。
初めてなので、いろいろルールの間違いをしていますけど気にしない。
最初にカードイベントを引きます。
「ソ連軍即時反撃」え?
北方戦線で1へクス(145km)後退させられました。
独ソ不可侵条約を一方的に破るとは、恥知らずな。
ソビエト連邦に対し、我がドイツは自衛のために武力を用いざるを得ません。
気を取り直して、枢軸軍電撃戦フェイズ。
第24、57、39装甲軍がそれぞれ2~3へクスの突破を果たし、リガ、キエフ、ミンスクを占領しました。
続いて枢軸軍通常戦フェイズ。
ルーマニア第3軍がオデッサを攻撃、見事成功してソビエト第24軍を壊滅させました。
他方面でも進撃が進み、ソビエト軍の壊滅ユニットは計7個。
ソビエト軍反撃フェイズ。
ソビエトの攻撃は、接敵数と戦闘判定修正の有利な順に行われます。
ミンスクが奪回されてしまいました。
イニシアチブ決定フェイズ。
ユニット撃破+3、ウクライナ支配+1で計+4。
+6まで行けばVPに加算できたのに。
枢軸軍経済チットは戦車進化。今後ソビエト軍に対して「装甲優勢」を得られます。
ソビエト軍のチットは工場。継戦能力の強化を進めていますが、イニシアチブ値にはまだ影響しません。
ドイツ軍の攻撃はミンスクを再占領、さらにハリコフにも到達しましたが、反撃でハリコフ、キエフを奪い返され一進一退です。
イニシアチブは撃破+1、戦闘チット+2、戦車進化+2で計+5。
おしい、VP加算ならず。
都市占領ボーナスがまだひとつも出ていないのが悲しい。
カードイベントは「戦車生産の好調」。ありがたい。
経済チットでも戦車の進化が進みます。
このターン、ソビエトによる冬季反攻が起きるため、攻撃よりもむしろ戦線の整理に努めました。
それでも戦線全域に渡って1へクスの後退を余儀なくされました。
イニシアチブは計+4、戦況は依然「枢軸軍優勢」。
イベントにより戦車ユニットがどんどん登場してきます。
ソビエトにもシベリア兵団が来援、さらに工場の拡充が進んでイニシアチブ修正が-2に。
電撃戦フェイスでは中央における攻勢に失敗し、第24装甲軍が壊滅してしまいました。以降イニシアチブ-1。
さらに他の方面での攻撃も失敗、空軍の支援をつけた第49山岳歩兵による強襲も不発。
ソビエトの反撃も非常にきわどくて、危うく包囲壊滅が起きるところでした。
イニシアチブは計+1、「枢軸軍優勢」。
史実(ショートシナリオの開始点)と比べると戦線の進みが3へクスほど足りず、VPは3点も不足しています。評価は「ソビエト軍決定的勝利」。むう。
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ドイツ軍はモスクワのはるか手前までしかたどり着けず、バルバロッサ作戦は失敗した。
戦争が長期化することを見込み、ソビエト南部の資源地帯を獲得することをドイツ参謀本部は主張。
しかしヒトラーはあくまでモスクワを譲らず、電撃戦による大規模な攻勢を再び決行した。
ブラウ作戦である。
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カードイベント「精鋭化」。第1SS装甲軍登場。
さらに「戦車生産の好調」でまた戦車を受領。
戦車進化も進んで大きくソビエトを引き離します。
第1SS装甲軍がスモレンスクを占領し、モスクワ前面145kmまで到達しました。
キエフ北西ではソビエト親衛軍など3ユニットを包囲。
しかしソビエトの反撃によって包囲網の一角が崩れ、そこを起点にすさまじい突破の嵐が広がります。
戦線はズタズタにされ、中央部ではポーランド国境近くまで押し戻されてしまいました。
イニシアチブは合計ゼロ、「枢軸軍優勢」。
カードイベント「枢軸同盟軍の増強」。ルーマニア軍などが以降ドイツ軍並みに強くなります。
電撃戦により大きな前進を果たし、ロストフ、ハリコフ、スモレンスク、キエフを占領、モスクワ前面に3ユニットが取り付きます。
イニシアチブ計+3。「枢軸軍優勢」だけど、史実と比較すると判定は依然「ソビエト決定的勝利」。
第7ターン。1942年冬。
とうとうソビエトの戦車軍が登場。
さらには疎開を進めていた工場が経済チットにより増強され、イニシアチブ修正が-5に。
冬季では大きな攻勢は望めないため、ソビエトの反攻に備えます。
イニシアチブ計-1。ぎりぎり「枢軸軍優勢」。
第8ターン。1943年春。
ソビエトに新型戦車が登場しましたが、まだドイツの装甲優勢は揺るぎません。
ボロジノを占領するも第47装甲軍が壊滅。
モスクワへの攻撃はあっさり弾かれました。
北方戦区ではソビエトの反撃により戦線を2へクス後退させられます。
イニシアチブは計-5に転落。戦況「拮抗」。
戦略方針を「予備反攻」にスイッチし、またドイツ国防軍最高司令部指揮権掌握を行って戦闘結果の改善を試みます。
イタリア降伏。
カードイベント「モスクワ要塞化」。うわあ。
経済チットは「総力戦」。ソビエト工場-7、戦車-3のイニシアチブ修正が入ります。化け物め。
こちらは予備反攻準備を進めます。
恐らくこれが最後の攻勢だ。
目標は3大都市。モスクワ、レニングラード、スターリングラード。
空軍ユニットを使用し、モスクワを3ユニットで攻撃開始。
レニングラードでは要塞マーカーの除去に成功。
スターリングラードにも取り付きました。
そしてここで初めて、イニシアチブ低下によるソビエト軍大反攻フェイズを迎えます。
カードによると南方戦区で3へクスの攻勢。最南部のルーマニア軍を後退させます。
イニシアチブは計-7。戦況は「ソビエト軍優勢」。
戦略方針を「防衛」に変更します。
ソビエト優勢下では本来実施できない電撃戦を、予備反攻マーカーを消費して強行します。
モスクワの要塞マーカー除去!
大都市レニングラード占領!
ソビエト大反攻は北方戦区で4へクス。スモレンスクを奪回し大突破を果たすソビエト軍。
次のターンに孤立させてやる。
イニシアチブは計-2、戦況「拮抗」。
あと1点で「優勢」を得られたのに!
戦略方針を「戦争経済」に。
カードイベントによりソビエト軍の突破がさらに進み、ドイツ国境まで300kmの地点にまで達しました。
ソビエト経済チットにより向こうにも新型の戦車が現れ、装甲優勢を失います。
最後の予備反攻マーカーを使用して電撃戦を試みましたが、ほとんど成果は得られず。
その代わりソビエトの反撃にもよく持ちこたえました。
そしてソビエト大反攻フェイズ。北方戦区で4へクス、南方戦区で4へクス。
南方ではハリコフ前面まで下がります。
北方は孤立したソ連軍がさらに増殖。いいのかなこれ。孤立判定で丸ごと除去。
イニシアチブは計-5。戦況「拮抗」。
経済チットではソビエトの戦車と工場が満タンになりました。
装甲優勢が逆転し、以降イニシアチブには-14もの修正が入ります。
もうダメだ、攻撃できるのはこれが最後だ。
肝心なところで第1SS装甲軍はヘマして壊滅。イニシアチブ-4。
がっかりしつつもモスクワを攻撃、3ユニット中2ユニットの攻撃が成功しました。
モスクワ占領!!
3大都市は残りひとつ。
スターリングラードを落とせば、サドンデスで勝利が決まります。
みんなやけくそなのか、いい戦闘結果を連発し戦線を拡大します。
ソビエト軍反撃フェイズ。
モスクワ喪失。シクシク。
グロスドイッチュラント壊滅。
ボロネジ喪失。
ソビエト大反攻は南方戦区で4へクス。
この時期になると、向こうは戦車1ユニットだけでもこちらの一般ユニットを攻撃してきやがります。
勝機は逸した。
イニシアチブ、計-11。
戦況は「枢軸軍末期」へ。
電撃戦、通常戦フェイズともに実施できなくなり、ソビエト大反攻フェイズは2回行われることになります。
戦車の性能差、補給の不足、部隊の定数割れなどによって、ソビエト軍の反撃には素で3コラムシフトを受けるようになりました。
戦車1ユニットだけでも6ユニット相当の戦力を持って殴ってきます。
スモレンスク失陥。
第14装甲軍壊滅。
第41装甲軍壊滅。
まだよく持ちこたえているほうです。
ソビエト軍大反攻。南北それぞれで5へクス。
空軍ユニットを消費して3へクスずつに軽減しますが、レニングラードが失陥します。
さらにソビエト軍大反攻。南方戦区で5へクスの後退。
空軍消費で3へクスに軽減、ドニエプル川まで後退。
イニシアチブは計-19でマイナスに振り切れ、VP(勝利点)が-1へ。「枢軸軍末期」。
第57装甲軍をカードイベントにより引き抜かれます。
ソビエト軍反撃フェイズ、4ユニット壊滅。
ソビエト軍大反攻フェイズ。南方戦区で7へクス。
オデッサ失陥。キエフ失陥。
さらに大反攻フェイズ。南方5へクス。
ブカレスト失陥、ルーマニア軍降伏。
戦線は代わりにハンガリー軍ユニットに支えてもらいます。
イニシアチブは計-26。VPは-2へ。
石油資源を失ったため、空軍はもはや動けません。
ミンスク喪失。
最後の装甲軍をはじめ、5ユニットが壊滅。
大反攻は北方5へクス。ヘルシンキ陥落、フィンランド降伏。
タリン喪失。
大反攻、南方5へクス。ベオグラード陥落。ブレストリトフスク陥落。
イニシアチブは計-29、VPは-3に達しました。
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ソビエト軍の赤い津波はついにドイツ本国に踏み込んだ。
西部戦線でも後退に後退を重ね、枢軸各国の脱落、軍の多大な喪失、経済状況の悪化、物資の不足などから、ナチスの統制は既に失われていた。
ヒトラーは徹底抗戦を叫び、ドイツ本国を自ら破壊する焦土作戦「ネロ指令」を発した。
国民も軍ももうたくさんだった。
1944年12月30日午後14時30分頃。
総統大本営の地下壕に一発の銃声が鳴り響いた。
地下壕の視察に入っていたヒトラーがそこで自殺したと、翌日大本営からは発表された。
ナチスドイツは崩壊し、1945年1月、連合国に対し降伏した。
枢軸同盟国では唯一ハンガリーだけが、ドイツに強要され対ソ戦を続けていたが、すでにブダペストにもソビエト軍は迫っている状況だった。
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ゲームではVPが-3に達するとドイツ敗北でゲーム終了となります。史実よりも5ヶ月も早い降伏です。
が、このときはそれを見落としていてそのままゲームを続行しています。
どうせもうそんなにかかりませんし。
リガ喪失。
第49山岳歩兵壊滅。
ワルシャワ陥落。
大反攻北方5へクス。ケーニヒスベルク喪失。
大反攻南方5へクス。ウィーン喪失。
イニシアチブ、計-34。VP-4。
経済チット「自由裁量」。プラハに防衛陣地を構築しますが、あっさり蹂躙されました。
ドイツ支配へクスは残り5へクス。
ソビエト第1親衛軍がベルリンに迫っています。
大反攻、北方5へクス。
ベルリン陥落。
ゲーム終了。
ソビエト完全勝利。
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あっはっは負けたー。
せめて最終ターンまではもたせたかったなー。
序盤にVPを稼がないといけないのか。
ここのところソリティアゲームがなんだか盛り上がっているみたいです。
最近では戦国を舞台にした『信玄上洛』も出ていて、興味を惹かれます。
また3月には国際通信社とサイフォンからそれぞれ太平洋戦争の戦略級ソリティアゲームが発売されます。
特にサイフォンの『太平洋決戦』は、戦略級にしては珍しい空母戦を扱ったもの。期待です。
日本のゲームなのでしょうか。非常に興味深いです。
日ソ中立条約バージョンなんてのがあれば、遊びながら日本近代史の勉強になりそうです。
(歴史の授業の最後のほうにある近代史は、
どうしても駆け足でなおざりにされてしまう印象が、、、。)
by Sakuya2634 (2012-03-05 22:59)
『独ソ戦ソリティア』は、海外のゲーム『Barbarossa Campaign』を日本語化したものです。
こういったヒストリカルなゲームは、当時の状況を再現・追体験できるようにデザインされていることが多く、キーワードで検索したり史実の戦況に当てはめてみたりすると、いろいろ面白いです。
歴史に興味があっても、歴史の授業は今ひとつ面白くなかったですよね!年号とか4桁の数字は手に負えないですし!
by ひさみね (2012-03-06 00:03)